「子ども虐待に気づくためのソーシャルワークハンドブック ~精神保健福祉士の強みを活かす~」作成のお知らせ(日本精神保健福祉士協会)

この冊子は、いわゆる虐待対応マニュアルではありません。私たち精神保健福祉士に、目の前の現象が虐待か虐待でないかを「判断すること」は求められていません。

目の前の気になることが、子どもたちや家族にどんな影響を与えるのか。私たちが気がつかなかったことで、子どもたちがつらい思いや怖い思いをしていないだろうか。家族が抱える不安を見逃していないだろうか。お母さんを、お父さんをギリギリまで頑張らせたり、追い込んだりしていないだろうか。そんなことを、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

この冊子は、目の前の子どもが、親御さんが、家庭が、私たちに送るサインが何を意味するのかを知り、必要な声かけができるようになるための手引書です。子どもの虐待は特別な環境、特別な要素によって引き起こされることではありません。精神疾患があるから、メンタルヘルスの課題があるから子育てに課題が生じるわけではありません。生活をしていくうえでの様々なつまずきが、生きづらさや子育てのしづらさを引き起こすのです。その個々の課題を共有し解決に向けて力を注ごうとする人に伴走することがソーシャルワークだと思うのです。

子どもの虐待は、私たちが目の前にいる対象者に適切に関わることができなかった結果、生じる現象です。サインを受け取り苦悩や生きづらさを理解し、当事者の望む生活が実現するように一緒に課題を解決する。普段の私たちの仕事に少しだけ家族全体を支援しよう、子どもや家庭にどんな影響があるだろうかと考えること、問題を先送りしないように、いまできることは何だろうという思いやまなざしを加えることで、子どもや家族を巡る問題は変化するはずです。

■編集
公益社団法人日本精神保健福祉士協会「子ども虐待対応マニュアル」検討プロジェクトチーム

■発行
公益社団法人日本精神保健福祉士協会
2020年9月30日発行

子ども虐待に気づくためのソーシャルワークハンドブック
一括ダウンロード用データ(A5判・50頁/PDF/3.04MB)